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現地レポート

大会2日目レポート ~よく学び、よく楽しむ!~ RSS

2015年3月29日 13時44分

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人はいつ、どこで、誰からでも学ぶことができる。「東日本大震災復興支援 第28回都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会(ジュニアオールスター2015)」の2日目が終わり、改めてその結果や出場選手の顔ぶれ、表情を見たときにそのことを強く感じる。

執拗なマークを受けながらもチームを引っ張った三重県・男子④笹山 陸選手

執拗なマークを受けながらもチームを引っ張った三重県・男子④笹山 陸選手

三重県・男子のキャプテン、#4 笹山 陸選手のお兄さんは彼と同じ鈴鹿市立白子中学校から、京都・洛南高校に進み、筑波大学を経て、先日アーリーエントリー制度を利用して三菱電機ダイヤモンドドルフィンズ名古屋でNBLデビューを果たした笹山 貴哉選手だ。兄の貴哉選手を見てバスケットを始めたわけではない、と陸選手は言う。貴哉選手が左利きであるのに対して、陸選手は右利き。そうした違いもある。しかし陸選手は兄・貴哉選手について、こう言っている。
「尊敬しています。同じポイントガードとして学べるところは学んでいるし、特に今日のようなタフなゲームでは兄のように強いメンタルが必要でした…」
埼玉県の執拗なマークに苦しみ、自分らしさが出せないままに終わったあとだけに、兄のような強気な姿勢でゴールに向かっていきたかったというわけだ。その悔いを兄にぶつけるのは悔しいかもしれない。弟とは、いつも兄から学びながら、一方でいつか兄を超えていきたいと思う存在だから。しかし悔いをぶつけることでヒントを得られるのであれば、兄ほど自分のことを理解し、アドバイスをしてくれる存在もいないだろう。
同じことは東京都B・女子の桂 蘭選手にも言える。決勝トーナメント1回戦で宮城県に敗れた悔しさをどう晴らしていけばいいのか。ぜひお姉さんに聞いてもらいたい。姉の葵さんはかつてジュニアオールスターで最優秀選手に選ばれたほどの実力者なのだから。

もう1人“学び”について話を聞いた選手が、意図せず同じ三重県・女子でセンターを務める#13 堀江 ゆうみ選手だった。彼女は兄弟から何かを学んだわけではない。しかし彼女は、今大会を通して何かを学んだと思えるほどに著しい成長を見せてくれた。所属する桑名市立光風中学校は三重県の3位に位置するチームだという。ジュニアオールスターではライバル校の四日市市立朝明中学校、鈴鹿市立神戸中学校のメンバーらとチームを作り上げてきた。

日に日に進歩する姿を見せてくれた三重県・女子⑬堀江 ゆうみ選手

日に日に進歩する姿を見せてくれた三重県・女子⑬堀江 ゆうみ選手

結果として決勝トーナメントの1回戦で姿を消すことになったが、それでも昨日の予選リーグ、今日の埼玉県・女子の3試合を通じて、初見の人でもわかるほどに変化を遂げていった。
「ジュニアオールスターに出場して、しかも決勝トーナメントに進むというめったにない経験をさせていただいてすごく感謝しているし、すごく光栄なことだと思っています。ジュニアオールスターでの3試合を通して、リバウンドの意識を高めなければいけないと学んだし、ボールを最後まで追いかけるとか、ポストプレイで周りを生かせることもできるのだと学びました。センターとしての役割を少し深めることができたように思います」
将来的には渡嘉敷 来夢選手(JX-ENEOSサンフラワーズ)や髙田 真希選手(デンソーアイリス)のように「ボールが渡ったら確実に得点が取れて、チームメイトから任せられるような選手になりたい」という。
今はまだ亀の歩みかもしれないが、ジュニアオールスター2015での経験を次の舞台――まずは来年度の「全国中学校バスケットボール大会(以下、全中)」出場を目指して、今回のチームメイトたちを上回りたいと彼女は考えている。

学びはしかし、ただ学んだままでいてはその意味が半減してしまう。次に生かすことで実力や自信へと昇華できるのだ。
愛知県・男子の波江野 寛之コーチは、愛知県チームを率いて今年でちょうど10年になる。その間一度もジュニアオールスターでベスト4の壁を破れていない。いや愛知県・男子そのものがその壁をいまだかつて破ったことがなかった。
だが今日、ついにその壁を突破した。その勝因の一つとして、波江野コーチは昨夏、自身が率いる岡崎市立北中学校で全中ベスト8にまで進んだ経験が生きたと認める。

県勢初の準決勝進出が決まった瞬間、ガッツポーズをする愛知県・男子の波江野 寛之コーチ

県勢初の準決勝進出が決まった瞬間、ガッツポーズをする愛知県・男子の波江野 寛之コーチ

「あの経験は今日の勝利にとって、ものすごく大きなものです。タイムアウトを取るタイミングや、ゲームの中で波が生まれるバスケットというスポーツで、波が落ち込んだときに選手たちにどのように声を掛けるべきかを考えるきっかけになりましたから」
ジュニアオールスターで9年間の負け続けたマイナスの蓄積と、全中の決勝トーナメントに進んだというプラスの経験。その2つが相まって、来年度以降のジュニアオールスターは後進に道を譲ることを宣言している波江野コーチの集大成として、愛知県・男子初のベスト4進出を導き出したのである。

明日はジュニアオールスター2015の最終日。まず準決勝があり、その後に決勝戦が行われる。選手もコーチも疲労が溜まっているだろうが、結果以上にゲームの中で何かに気づくことができれば、それはすなわち“学び”となる。選手、コーチ、そして彼ら、彼女らの一挙手一投足を見つめる同世代の選手や指導者たちにもゲームを楽しみつつ、一つでも多くのことをジュニアオールスター2015から学んでもらいたい。

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